雨の止み間に

降って止んでまた降って、雨の切れ間に道を行く。
降って止んでまた降って、足踏みするだけ水たまり。
降って止んでまた降って、
辿り着くのは、何時の日か

 ※ ※ ※
※ ※ ※

 雨が降っていた。
夕方から忍び寄るようにして降り始めた雨は、気づいた頃には視界一面を白く煙らせていた。目にはっきりと見えるほど大粒な雨は量も多く、穿たれた地面が瞬く間に水没していく。
 最近では珍しいぐらいの大雨に、つい何の気はなしに空を見上げてしまった。厚い雨のベールの向こう側、常とは違う色に染め抜かれた空は、つい昼頃までの灼熱の照りが嘘のような暗灰色。
「こいつぁすげぇ」
 その見事なほど不景気な色に、思わず感嘆の声が出る。降り始めから今に至るまで、それほど時間は経っていない。それだけ短い間に、これほど素早く空を覆い尽くしてしまったのだから、自然というものの凄さを感じずにはいられない。いっそ何かの魔術かと思ってしまったほどだ。
……何かの、魔術。
 そこまで考えた途端、微妙に胸のあたりがざわついてきた。忙しないような、落ち着かないような、そんな気分。
(あ〜……長いこと降ってなかったし、一般庶民からの訴えとか……陛下のところまで伝わってそうな予感……)
 天候すら変える魔術、で、ついどこかの誰かさんの顔が思い浮かんだのだ。
 黒髪に黒い瞳に、魔族でも稀なほど可愛らしい顔をした少年。わずか十六という若さで魔族を率いる、当代魔王陛下。恐らく上に「超」が三つはくっつくヒトの好さで、他人の不幸を見て見ぬフリできずに走り回っていそうな感じの……
(……いや、いやいや)
微妙な不安を打ち消すように、立派な木の下で雨宿りをしながらヨザックは首を横に振った。
 ありえない、ありえない。
(まさか、まーさーか、いくらなんでも陛下が)

※※※※以下、同人誌へ※※※

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